時々ひげめがね。

30代社会人。平成29年司法試験予備試験合格。日々の勉強やプライベートを。

仮装通貨(暗号通貨)は今後ますます発展していく!?(2)

前回は,仮想通貨と電子マネーとの違いを見てみました。今回は,このような仮想通貨の特徴についての疑問点について見ていきたいと思います。

 

仮想通貨の特徴

前回「法定通貨を信用の裏付けとしない」「取引相手が不特定である」という仮想通貨の特徴を挙げましたが,このどちらの観点にも疑問が湧いて来るのではないかと思います。

まず,第1点目として,仮装通貨の信用はどこからくるのでしょう。前述の通り,仮想通貨は法定通貨と同じ価値をもつことが約束されていません。そう考えると,安心して仮想通貨を使うことができないようにも思われます。

第2点目として,本当に不特定の者とのやり取りができるといえるのでしょうか。仮想通貨で支払うことができる場面は非常に限られています。現状ではとても不特定の者との決済で用いられるとは言えないように思えます。

以下では,これらの疑問について検討してみたいと思います。

 

仮想通貨の価値はなにを根拠にしているのか

まず,仮想通貨の価値は,一般的には以下のような理由で認められるのだと説明されています。 

(1)高い送金利便性

遠隔地から物を購入するとき,銀行振込やクレジットカード引き落としで決済されるのが普通でしょう。海外とのやり取りにおいては,これに加えて円とドルなど通貨の交換が必要になって来ます。

しかし仮想通貨は,その特性上,銀行口座を介さずに直接送金が可能です。あたかもお店で現金で物を買うのと同様に,遠隔地の相手に仮想通貨を直接渡して物を買うことができます。

この高い送金利便性という特徴は既存の通貨には認められないため,仮想通貨特有の価値があると説明されます。

 

(2)偽造困難性

世界中で行われるビットコイン取引は,一定時間ごとに取引台帳というものに記録されていきます。この取引台帳は,1つの場所で管理されるのでなく,世界中の有志のコンピューター上で分散して管理されます。

この技術により,ビットコインを偽造することは事実上困難であるとされます。このような偽造の困難性が,ビットコインの信用を高めるのだと説明されています。

 

(3)有限性

ビットコインは,発行総数が限られています。具体的には,2,100万BTC以上発行されることはありません。

そして,ビットコインは,有志が分散型台帳を管理することの対価としてしか発行されません。この台帳管理をすることによりビットコインの発行を受けることを「マイニング(発掘)」と呼びます。

このようなビットコインの性質は,金に例えられることがあります。つまり,世界中で総量が限定されており,かつ発掘作業によってしか得られないという性質が,あたかも貴金属類と同じような希少価値を与えるのだと説明されます。

 

以上のような仕組みのため,仮想通貨に価値が認められると説明されます。

しかし,私自身はこれが固有の「価値」といえるのかについては,懐疑的です(詳しくは次回述べようと思います)。

 

本当に不特定の者とのやり取りが可能なのか

2点目の疑問についてです。

ビットコインをはじめとする仮想通貨は,究極的には世界中の不特定者とのやり取りに用いられることが想定されていますが,これが可能となる根拠について,明確な説明がなされることは多くありません。

一般的には,仮想通貨は,電子マネーのように閉ざされたコミュニティでなく,インターネット上でオープンに取引されるから,不特定の者とのやり取りに用いられるのだと説明されます。

しかし,不特定の者といっても,結局は,仮想通貨での取引をしようと考えた者だけが取引に参加することになります。したがって,仮想通貨が「不特定の者」に対して用いることができるというのは,ややミスリーディングな表現です。

現実には仮想通貨は誰に対してでも用いることのできる通貨ではありません。仮想通貨が広く普及することの結果として,あたかも,みんなに用いることができるようになる(かも知れない),ということに過ぎません。

これは,いわゆる「強制通用力」を欠くことによる仮想通貨の限界です(詳しくは次回述べようと思います)。

 

本当に仮想通貨は発展していくのか?

さて,このような特徴をもつ仮想通貨ですが,私自身は,この特徴を裏付ける仮想通貨(暗号通貨)の技術自体は今後の通貨の発展に大きく寄与すると感じているものの,ビットコインを含む現行の仮想通貨の発展には懐疑的です。

次回は,その理由を述べていきたいと思います。